運行管理者(旅客)試験の
実務上の知識から、
実践レベルの24問を掲載しています。
各問題には正解と詳しい解説を付けているので、答え合わせをしながら読み進められます。
法令改正にも随時対応しており、2024年4月の改善基準告示改正、2025年4月の継続検査に関する改正なども反映済みです。
問題を
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📖 実務上の知識のポイント
適性診断
初任運転者・高齢運転者(65歳以上)・事故惹起運転者は適性診断の受診が義務。高齢運転者は65歳に達した日以後1年以内に1回、その後は75歳に達するまで3年以内ごとに1回、75歳に達した日以後は1年以内ごとに1回。勤続年数による義務はありません。
初任運転者への指導
貸切バスの初任運転者には、座学を合計10時間以上と、安全運転の実技を20時間以上実施します(貸切バス以外の一般旅客自動車・特定旅客自動車は座学6時間以上)。実技は実際に運行する可能性のある経路で、同一の車種区分の自動車を運転させ、添乗により指導します。事故惹起運転者への指導は再度乗務する前に実施します。
問1
長距離貸切バス運行の計画で運行管理者が特に注意すべき事項は?
- A車内のエンターテインメント
- B休憩場所の確保と運転者の拘束時間管理正解
- C乗客のお土産購入場所
- Dガソリンスタンドの位置
正解B
解説長距離運行では、休憩場所の確保と拘束時間の管理が最も重要です。連続運転時間は4時間以内で、その間に1回連続10分以上・合計30分以上の中断が必要なため、休憩できる場所を事前に確認しておく必要があります。1日の拘束時間は原則13時間以内・最大15時間、運転時間は2日平均で1日9時間以内です。他の選択肢(車内のエンターテインメント/乗客のお土産購入場所/ガソリンスタンドの位置)は、運行の快適性や利便性に関わるものであり、輸送の安全確保を目的とする運行計画の考慮事項としては優先度が異なります。
問2
運転者から体調不良の申告があった場合の運行管理者の対応は?
- A少し休憩させてから乗務させる
- B乗務を中止し代替の運転者を手配する正解
- C運転者の判断に任せる
- D短距離の運行のみ許可する
正解B
解説安全な運転ができないおそれがある場合は乗務を中止します。疾病・疲労・睡眠不足その他の理由により安全な運転ができないおそれがあるときは、その運転者を業務に従事させてはなりません。代替の運転者を手配します。誤答(少し休憩させてから乗務させる/運転者の判断に任せる/短距離の運行のみ許可する)は、安全確保より効率や自己判断を優先する内容であったり、法令上求められる措置を欠いていたりするため適切ではありません。安全確保が最優先という原則から判断します。
問3
複数の運行管理者がいる営業所で統括運行管理者の役割は?
- A全員の点呼を1人で行う
- B他の運行管理者の業務を統括管理する正解
- C車両の整備も行う
- D運転者の採用を行う
正解B
解説1つの営業所に複数の運行管理者を選任する場合は、そのうち1人を統括運行管理者として選任しなければなりません(運輸規則第47条の9)。統括運行管理者は他の運行管理者の業務を統括管理し、運行管理業務全体の責任者となります。他の選択肢(全員の点呼を1人で行う/車両の整備も行う/運転者の採用を行う)は、点呼は補助者にも分担でき、整備は整備管理者の業務、採用は事業者の業務であるため誤りです。
問4
SASスクリーニング検査の目的は?
- A視力の確認
- B睡眠時無呼吸症候群の早期発見正解
- C聴力の確認
- D運動能力の確認
正解B
解説睡眠時無呼吸症候群(SAS)の早期発見・治療が目的です。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は自覚症状がないまま進行することが多く、居眠り運転による重大事故の原因となります。自覚症状の有無にかかわらず全運転者を対象としたスクリーニングが推奨されます。他の選択肢(視力の確認/聴力の確認/運動能力の確認)はいずれも法令等の定めと異なります。
問5
点呼時に運転者の顔色や声の調子を確認する理由は?
- Aマナーの確認
- B疲労や体調不良の兆候を把握するため正解
- C身だしなみの確認
- Dコミュニケーション能力の評価
正解B
解説疲労や体調不良の兆候を早期に把握するためです。点呼では目視等により運転者の状態を確認します。顔色、声の調子、動作、呼気などから疲労・疾病・飲酒の兆候を把握し、安全な運転ができるかを判断します。他の選択肢(マナーの確認/身だしなみの確認/コミュニケーション能力の評価)はいずれも法令等の定めと異なります。
問6
ヒヤリ・ハット報告を収集する目的は?
- A運転者を処罰するため
- B事故防止対策に活用するため正解
- C運転者のランキングをつけるため
- D法律で義務付けられているから
正解B
解説事故に至らなかった事例を分析し、事故防止対策に活用します。ヒヤリ・ハット体験は事故には至らなかったものの危険を感じた事例で、指導監督に活用します。1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故と300件のヒヤリ・ハットがあるとされます(ハインリッヒの法則)。他の選択肢(運転者を処罰するため/運転者のランキングをつけるため/法律で義務付けられているから)はいずれも法令等の定めと異なります。
問7
乗務割を作成する際に考慮すべき事項として最も重要なものは?
- A運転者の希望する休日
- B改善基準告示に適合した拘束時間・休息期間正解
- C燃料コストの最適化
- D乗客数の予測
正解B
解説改善基準告示への適合が最も重要です。乗務割は改善基準告示に定める拘束時間・休息期間・運転時間の範囲内で作成し、運転者に対して適切に通知します。作成は運行管理者の業務です。誤答(運転者の希望する休日/燃料コストの最適化/乗客数の予測)は、安全確保より効率や自己判断を優先する内容であったり、法令上求められる措置を欠いていたりするため適切ではありません。安全確保が最優先という原則から判断します。
問8
運転者の健康管理で運行管理者が行うべきこととして適切でないものは?
- A定期健康診断の受診状況の確認
- B日常的な健康状態の把握
- C医師の診断を無視して乗務させること正解
- D脳・心臓疾患のリスク管理
正解C
解説疾病により安全な運転ができないおそれがある運転者を業務に従事させてはなりません(運輸規則第21条)。医師が就業上の措置を必要と判断した場合は、その意見を踏まえて乗務の可否を決定します。医師の診断を無視して乗務させることは重大事故につながるため、絶対に行ってはなりません。他の選択肢(定期健康診断の受診状況の確認/日常的な健康状態の把握/脳・心臓疾患のリスク管理)は、いずれも運行管理者が行うべき適切な健康管理です。
問9
旅客IT点呼を実施できる営業所の要件として正しいものは?
- A国土交通大臣の認可を受けた営業所
- B開設から3年を経過し、過去3年間が無事故・無処分の営業所正解
- C運行管理者が2名以上選任されている営業所
- D事業用自動車を40両以上保有する営業所
正解B
解説旅客IT点呼は認可制ではありません。①開設から3年を経過していること、②過去3年間、所属する運転者が自らの責に帰する事故を発生させていないこと、③過去3年間、使用停止処分・事業停止処分・警告を受けていないこと、を満たす営業所で、営業所と車庫の間などで実施できます。他の選択肢(国土交通大臣の認可を受けた営業所/運行管理者が2名以上選任されている営業所/事業用自動車を40両以上保有する営業所)はいずれも法令等の定めと異なります。
問10
貸切バスの安全運行のために事前に調査すべき事項として最も重要なものは?
- A観光地の入場料
- B運行経路の道路状況と休憩場所正解
- C旅行会社の評判
- D乗客の年齢構成
正解B
解説道路状況、危険箇所、休憩場所等の事前調査が最も重要です。一般貸切旅客自動車運送事業では、運行ごとの運行指示書の作成、5年ごとの許可更新、記録類の3年間保存(2024年4月〜)など、他の事業より厳しい規制が課されています。誤答(観光地の入場料/旅行会社の評判/乗客の年齢構成)は、安全確保より効率や自己判断を優先する内容であったり、法令上求められる措置を欠いていたりするため適切ではありません。安全確保が最優先という原則から判断します。
問11
ヒヤリ・ハット300件に対して重大事故が発生する確率を示した法則は?
- Aパレートの法則
- Bハインリッヒの法則正解
- Cマーフィーの法則
- Dピーターの法則
正解B
解説ハインリッヒの法則(1:29:300)です。1件の重大事故の背景に300件のヒヤリ・ハットがあるとされます。他の選択肢(パレートの法則/マーフィーの法則/ピーターの法則)はいずれも法令等の定めと異なります。
問12
KYT(危険予知トレーニング)の主な目的は?
- A運転技術の向上
- B潜在的な危険を予測し回避する能力を養う正解
- C法規の暗記
- D車両の整備技術の向上
正解B
解説運転場面に潜む危険を予測し、適切に回避する能力を養います。KYT(危険予知トレーニング)は、運転場面のイラストや映像から潜む危険を挙げ、対策を話し合う参加・体験・実践型の教育手法です。他の選択肢(運転技術の向上/法規の暗記/車両の整備技術の向上)はいずれも法令等の定めと異なります。
問13
PDCA サイクルによる安全管理で「C(Check)」にあたるのは?
- A安全計画の策定
- B安全対策の実施
- C実施状況の確認・評価正解
- D改善策の実行
正解C
解説C(Check)は実施状況の確認・評価です。P=計画、D=実施、A=改善です。他の選択肢(安全計画の策定/安全対策の実施/改善策の実行)はいずれも法令等の定めと異なります。
問14
バリアフリー法に基づき、バス事業者が配慮すべきことは?
- A高齢者・障害者に対する運賃の割引を行えば足りる
- B高齢者・障害者等が安全かつ円滑に利用できるよう配慮する正解
- C貸切バスは不特定多数を運ばないため配慮は不要
- D車椅子利用者は安全上の理由で乗車を拒否できる
正解B
解説高齢者・障害者等が安全かつ円滑に利用できるよう配慮します。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)に基づき、事業者はノンステップバスの導入、乗降時の介助、案内表示の充実などに配慮します。
問15
上図の夜間ワンマン運行で、改善基準告示および交替運転者の配置基準で確認すべきポイントは?
- A運転時間4時間以内なので問題なし
- B実車距離500km超なら交替運転者必要
- C運転前の休息期間11時間以上が必須
- D以上のすべてを確認する必要がある正解
正解D
解説夜間ワンマン運行(1人乗務)では①連続運転4時間以内、②実車距離500km以下(場合により600km)、③運転前の継続11時間以上の休息期間、④1運行の運転時間9時間以内、等を総合的に確認する必要があります。すべての条件を満たして初めてワンマン運行が認められます。
問16
上図の事故を防ぐための最も直接的に有効な対策は?
- A速度抑制装置を装着して発進時の速度を抑える
- B左右両方向の歩行者等の確認と死角の指導を徹底する正解
- C運転者の免許更新時期を管理し失効を防止する
- D死角の少ない最新型の車両へ計画的に代替する
正解B
解説事故の直接原因は『右からの自転車に気を取られ、左からの車椅子利用者の確認が不十分だった』こと。左折時は『左右両方向』の歩行者・自転車等の安全確認、車両の死角での確認、目視確認の徹底が最も有効な対策です。単一方向のみの確認では事故防止に不十分。他の選択肢(速度抑制装置を装着して発進時の速度を抑える/運転者の免許更新時期を管理し失効を防止する)はいずれも法令等の定めと異なります。
問17
上図の追越しに要する所要時間として最も近いものは?
- A約12秒
- B約18秒正解
- C約24秒
- D約30秒
正解B
解説A車とB車の相対速度=60-40=20km/h=約5.56m/s。追越しに必要な距離=40m(後方車間)+10m(B車長)+10m(A車長)+40m(前方車間)=100m。所要時間=100m÷5.56m/s≒18秒。よって約18秒が正解。他の選択肢(約12秒/約24秒/約30秒)はいずれも法令等の定めと異なります。
問18
上表の事故統計から読み取れる傾向として、最も適切な解釈は?
- A事故件数は増加傾向にある
- B死亡事故が最も注力すべき課題で件数も増加
- C事故件数は減少傾向にあり、特に死亡事故と軽傷事故が大きく減少正解
- D重傷事故は増加傾向にある
正解C
解説5年間で死亡事故は12→6(50%減)、軽傷事故は324→248(23%減)、事故計は381→286(25%減)と全体的に減少傾向。安全対策の効果が現れていると評価できる。ただし死亡事故は『ゼロ』が目標であり、件数減少に油断せず継続した対策が必要。他の選択肢(事故件数は増加傾向にある/死亡事故が最も注力すべき課題で件数も増加/重傷事故は増加傾向にある)はいずれも法令等の定めと異なります。
問19
上図のような高速道路の合流地点での安全運転について、最も重要なポイントは?
- A合流車に進路を譲らずできるだけ速く通過する
- B加速車線で十分に加速し、間隔を見て安全に合流する正解
- C合流車があれば本線車両が必ず減速して譲る
- Dハザードランプを点灯すれば優先的に合流できる
正解B
解説高速道路の合流(バスが本線、合流車が加速車線にいる状況)では、合流車側が本線の流れに合わせて十分な加速を行い、安全な間隔を見つけて合流するのが原則。本線車両も合流車に配慮することが重要ですが、第一義的には合流車側の責任。バスは本線で適切な車間距離を保ち、必要に応じて車線変更で対応。誤答(合流車に進路を譲らずできるだけ速く通過する/合流車があれば本線車両が必ず減速して譲る)は、安全確保より効率や自己判断を優先する内容であったり、法令上求められる措置を欠いていたりするため適切ではありません。安全確保が最優先という原則から判断します。
問20
複数選択
運転者の疲労蓄積による事故防止対策として適切なものを2つ選びなさい。
- A十分な休息期間(11時間以上を努力目標)の確保正解
- B定期的な健康診断とSAS(睡眠時無呼吸症候群)スクリーニング正解
- C運転者の自己責任に委ねる
- D運転中の眠気は気合で克服するよう指導
正解A・B
解説正解はAとB。【A】継続11時間以上の休息期間確保は疲労回復に必須。【B】SAS検査等の健康管理は重大事故防止に有効。【誤りC】事業者・運行管理者の責任。【誤りD】生理的な眠気は意志では克服できない、適切な休憩が必要。
問21
複数選択
事故発生時の運転者の対応として正しい順番を考えたとき、適切な行動を2つ選びなさい。
- Aまず車両を安全な場所に停止しエンジンを停止する正解
- B負傷者の救護(119番通報等)を最優先する正解
- C事故現場をそのままにして会社に向かう
- D他の交通の妨げになる場合は車両を移動する
正解A・B
解説正解はAとB。【A】車両停止・エンジン停止は二次事故防止のため最優先。【B】負傷者の救護は道交法72条で義務付け、警察への通報より優先。【誤りC】事故現場放置は当て逃げ等の犯罪、警察・会社への連絡が必要。【誤りD】軽微な事故で交通の妨げになる場合は移動可だが、警察の指示を仰ぐ。
問22
複数選択
自動車の運転特性について正しいものを2つ選びなさい。
- A遠心力は速度の2乗に比例し、カーブの半径に反比例する正解
- B内輪差はホイールベースが長いほど大きくなる正解
- C制動距離は速度に比例して長くなる
- D蒸発現象はAT車がアクセルを踏まずに進む現象である
正解A・B
解説正解はAとB。【A】遠心力は速度の2乗に比例するため、速度が2倍になると4倍になります。またカーブの半径に反比例します。【B】内輪差は右左折時に後輪が前輪より内側を通る現象で、ホイールベースが長い大型バスほど大きくなり、巻き込み事故の原因となります。【誤りC】制動距離は速度の2乗に比例します。速度に比例するのは空走距離です。【誤りD】AT車がアクセルを踏まずに進むのはクリープ現象です。蒸発現象は夜間に自車と対向車のライトが重なる部分で歩行者等が見えなくなる現象です。
問23
複数選択
事故防止のための指導として適切なものを2つ選びなさい。
- Aヒヤリ・ハット事例を収集し、要因を分析して指導に活用する正解
- Bドライブレコーダーの記録を用いて運転特性を把握し是正する正解
- Cヒューマンエラーを起こした運転者には社内処分のみで対応する
- D適性診断の結果のみを根拠に運転業務から外す
正解A・B
解説正解はAとB。【A】ヒヤリ・ハット事例は事故に至らなかった危険の芽であり、収集・分析して指導に活かします。1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故と300件のヒヤリ・ハットがあるとされます(ハインリッヒの法則)。【B】ドライブレコーダーの映像は運転特性の把握と是正に有効です。【誤りC】処分だけでは再発防止になりません。要因の調査・分析と教育が必要です。【誤りD】適性診断は運転者の特性を把握して指導に活かすためのもので、適否を判定するものではありません。
問24
複数選択
緊急時・異常時の対応として適切なものを2つ選びなさい。
- A車両故障時はまず安全な場所へ移動し、停止表示器材を設置する正解
- B異常気象時は運行管理者が運行の中止を含む必要な指示を行う正解
- C乗客が負傷した場合はまず営業所に連絡して到着を待つ
- D高速道路上で停車した場合は乗客を車内で待機させる
正解A・B
解説正解はAとB。【A】車両故障時は安全な場所へ移動し、後続車に知らせるため停止表示器材を設置します。【B】異常気象その他の理由により輸送の安全確保に支障が生じるおそれがあるときは、運行管理者が乗務員等に対して必要な指示その他の措置を講じます。【誤りC】負傷者がある場合は救護が最優先で、連絡を待つ間に容態が悪化する危険があります。【誤りD】高速道路上では追突の危険があるため、乗客を路肩側から降車させ、ガードレールの外側など安全な場所へ避難させます。
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