法令の体系図 完全整理
【法律・政令・省令・告示】

条文がどこにあるかが一目でわかる
最終更新日:2026年8月2日
📌 なぜ体系から入ると強いのか 運行管理者試験の勉強でつまずく原因の多くは、「どの法令の話をしているのかが分からなくなる」ことです。点呼は運輸規則、車検は車両法、拘束時間は改善基準告示、酒気帯び運転の罰則は道路交通法。同じ「バスの運行」の話でも、根拠となる法令はバラバラです。

先に地図を持っておくと、問題文を読んだ瞬間に「これは運輸規則の話だ」と当たりがつくようになります。このページでは、法律→政令→省令→告示の4階層と、試験5分野30問の対応関係を図で整理します。

🏛️法令の4階層(法律・政令・省令・告示)

まず、日本の法令には上下関係があります。上のものほど強く、下のものは上から委任を受けて細かいことを決めています。

法令の4階層 憲法の下に、国会が定める法律、内閣が定める政令、各省の大臣が定める省令、大臣が定める告示という4つの階層が並び、下に行くほど内容が具体的になることを示した図 憲法 ① 法律(国会が制定) 道路運送法/道路運送車両法/道路交通法 労働基準法 ※基本的な枠組みを定める ② 政令=施行令(内閣が制定) 道路運送法施行令/道路交通法施行令 ※法律の委任を受けた事項を定める ③ 省令=規則(国土交通大臣等が制定) 旅客自動車運送事業運輸規則 道路運送車両の保安基準/自動車点検基準 ※実務の細かいルールはほぼここ ④ 告示(大臣が公示) 改善基準告示(厚生労働大臣) 点呼告示/保安基準の細目を定める告示 ※さらに下に「通達(解釈及び運用について)」
図1:法令の4階層。下に行くほど内容が具体的になり、実務で使うのは省令・告示が中心。
👉 試験対策としてのポイント
試験に出る細かい数字やルールは、ほとんどが省令(規則)と告示に書かれています。「点呼は業務前と業務後に行う」も、「拘束時間は1日原則13時間」も、法律本体ではなく下位の法令です。
ただし試験の分野名は「道路運送法関係」のように法律の名前で呼ばれます。だから「どの法律の下にぶら下がっている省令か」を知っておく必要があるわけです。

名前から階層を見分けるコツ

名前の形階層
〜法法律道路運送法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法
〜法施行令政令道路運送法施行令、道路交通法施行令
〜法施行規則
〜規則
〜基準
省令道路運送法施行規則、旅客自動車運送事業運輸規則、自動車事故報告規則、道路運送車両の保安基準、自動車点検基準
〜告示
〜を定める告示
告示改善基準告示、点呼告示、保安基準の細目を定める告示
💡 「令は内閣、規則は大臣」 が付いたら政令(内閣)、規則・基準なら省令(大臣)。旅客自動車運送事業運輸規則は名前に「令」がないので省令です。ここは選択肢のひっかけになることがあります。

🗺️試験5分野と法令の対応 全体図

運行管理者(旅客)試験は全30問で、5つの分野から出題されます。分野ごとの出題数と、そこにぶら下がる法令を並べたのが次の図です。

試験5分野と法令の対応図 運行管理者旅客試験の30問が、道路運送法8問、道路運送車両法4問、道路交通法5問、労働基準法6問、実務上の知識及び能力7問に分かれ、それぞれに対応する省令や告示が並ぶことを示した図 運行管理者試験(旅客)30問 8 ① 道路運送法 道路運送法施行規則 旅客自動車運送事業運輸規則 自動車事故報告規則 4 ② 道路運送車両法 道路運送車両の保安基準 自動車点検基準 5 ③ 道路交通法 道路交通法施行令 道路交通法施行規則 6 ④ 労働基準法 改善基準告示(2024年4月改正) 労働安全衛生法(健康診断) 7 ⑤ 実務上の知識及び能力 運行計算・事故防止・健康管理 交替運転者の配置基準(通達) ※法令知識の応用として出題 合格基準:30問中18問以上(正答率60%) かつ①〜④は各1問以上、⑤は2問以上の正解が必要
図2:5分野30問の内訳と対応法令。①道路運送法が8問と最大で、ここが得点源になる。
⚠️ 分野別の最低ライン
合計18問取れていても、①〜④のどれかが0問だと不合格です。⑤実務は0問または1問だと不合格になります。得意分野だけで18問を狙う作戦は成立しないので、苦手分野も最低1問は確実に取れる状態にしておく必要があります。特に4問しかない道路運送車両法を捨てるのは危険です。

⚖️道路運送法の体系(8問・最大分野)

最大の8問が出る分野です。ただし道路運送法そのものより、下にある旅客自動車運送事業運輸規則からの出題が圧倒的に多いのが特徴です。

道路運送法(昭和26年法律第183号)の目的 貨物自動車運送事業法と相まって、道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし、輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り、公共の福祉を増進することを目的とする、と定められています。

ぶら下がる主な法令

法令名階層主な内容(試験で出るところ)
道路運送法法律事業の許可、事業計画、輸送の安全、運行管理者の選任義務、事故の報告
道路運送法施行規則省令運行形態の区分(路線定期運行等)、事業計画の変更手続
旅客自動車運送事業運輸規則
(昭和31年運輸省令第44号)
省令点呼(第24条)、業務記録(第25条)、運行記録計(第26条)、運行指示書(第28条の2)、乗務員等台帳(第37条)、運行管理者の業務(第48条)
自動車事故報告規則省令重大事故の定義、報告書の提出期限(30日以内)、速報を要する事故
点呼告示告示遠隔点呼・自動点呼・旅客IT点呼の要件
解釈及び運用について通達「運行上やむを得ない場合」の範囲、夜間長距離運行の判定基準
👉 一番大事な省令はこれ
旅客自動車運送事業運輸規則(通称「運輸規則」)です。点呼、記録、台帳、運行管理者の業務など、実務の中核はすべてここに書かれています。試験で「道路運送法関係」として出題される8問のうち、体感で半分以上がこの運輸規則からの出題です。
なお貨物の対応法令は「貨物自動車運送事業輸送安全規則」です。名前が違うので、貨物向け教材を参照するときは注意してください。

運行管理者に関する条文の位置

  • 選任義務…道路運送法第23条(法律レベル)
  • 選任すべき人数…運輸規則第47条の9(車両数÷40の小数点以下切捨て+1)
  • 資格要件…試験合格、又は5年以上の実務経験+5回以上の講習受講。ただし一般貸切旅客は試験合格者に限られる
  • 運行管理者の業務…運輸規則第48条(点呼、乗務割の作成、指導監督、記録の管理など)

🚌道路運送車両法の体系(4問)

出題数は4問と少なめですが、範囲が狭く数字も限られているので得点しやすい分野です。合格基準で各分野1問以上が必要なことを考えると、ここは確実に押さえたいところです。

法令名階層主な内容
道路運送車両法法律登録(新規・変更・移転・抹消)、検査(車検)、点検整備、整備管理者
道路運送車両法施行規則省令登録の手続、届出の期限
道路運送車両の保安基準省令非常口、消火器、後部反射器、速度抑制装置、窓ガラス等の基準
保安基準の細目を定める告示告示保安基準の具体的な数値・技術基準
自動車点検基準省令日常点検、3ヵ月点検・12ヵ月点検の点検項目、点検整備記録簿

この分野の頻出数字

  • 事業用自動車(バス)の車検…初回・以降とも1年
  • 継続検査の申請…有効期間満了日の2ヵ月前から(2025年4月改正。改正前は1ヵ月前)
  • 定期点検…3ヵ月ごと12ヵ月ごと
  • 点検整備記録簿の保存…1年間
  • 整備管理者…乗車定員11人以上の自動車は1両でも選任義務
  • 各種届出…15日以内
⚠️ 2025年4月の改正に注意
継続検査(車検)を受けられる期間が、有効期間満了日の1ヵ月前から2ヵ月前に拡大されました。前倒しで受けても次回の満了日が変わらない仕組みです。古い教材は「1ヵ月前」のままなので、必ず新しい数字で覚えてください。

🚦道路交通法の体系(5問)

運転免許を持っている人には馴染みのある内容ですが、バス(大型自動車・旅客)特有のルールが狙われます。

法令名階層主な内容
道路交通法法律運転者の義務、酒気帯び運転等の禁止、事故時の措置、過労運転の下命・容認の禁止
道路交通法施行令政令法定速度、酒気帯びの基準値、違反点数
道路交通法施行規則省令免許の種類と運転できる自動車の区分

バス関係で狙われるポイント

  • 自動車の種類…大型(車両総重量11,000kg以上/最大積載量6,500kg以上/乗車定員30人以上のいずれか)、中型、準中型、普通の区分
  • 高速道路の法定最高速度…大型バスは100km/h。大型貨物等は2024年4月から90km/h(改正前80km/h)、けん引自動車は80km/h
  • 酒気帯び運転…呼気1L中0.15mg以上が処罰対象。ただし点呼での酒気帯びの確認は数値を問わない(検知されれば乗務不可)
  • 過労運転等の下命・容認の禁止…事業者・運行管理者側の責任を問う規定
  • 事故時の措置…直ちに停止し、負傷者の救護が最優先。その後に警察官へ報告
💡 道交法と運輸規則の「酒気帯び」の違い 道路交通法は0.15mg/L以上で処罰。運輸規則の点呼は数値を問わず、検知されたら乗務させてはいけない。同じ「酒気帯び」でも基準が違います。ここは非常によく出るひっかけです。

👷労働基準法と改善基準告示(6問)

6問と配点が大きく、しかも計算問題が出るため、多くの受験者が苦戦する分野です。法令の構造としては、労働基準法という法律の下に、厚生労働大臣が定めた告示がぶら下がる形になっています。

労働基準法と改善基準告示の関係 労働基準法がすべての労働者に適用される一方、改善基準告示は自動車運転者に適用され、バス・トラック・タクシーで基準が異なることを示した図 労働基準法(すべての労働者に適用) 労働時間・休憩・休日・割増賃金・年次有給休暇など 改善基準告示(自動車運転者に適用) 正式名称:自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 2024年4月1日 改正施行 バス 1日13時間 最大15時間 ←試験範囲 トラック 1日13時間 最大15時間 (貨物試験) タクシー 日勤・隔勤 で別基準 (参考)
図3:改善基準告示は業態ごとに基準が分かれる。旅客試験で問われるのはバス運転者の基準。
👉 バスとトラックで数値が違うところ
1日の拘束時間は同じでも、2人乗務の特例は大きく違います。バスは原則19時間・休息5時間(車両内ベッド等があれば20時間・4時間)ですが、トラックは20時間・4時間です。
また連続運転時間の中断の扱いや、分割休息の要件も異なります。貨物向けの解説を読むときは必ず「バスの場合」を確認してください。

労働基準法側で出るところ

  • 労働時間の原則…1日8時間・1週40時間
  • 休憩…6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上
  • 割増賃金…時間外25%以上、深夜25%以上、休日35%以上
  • 解雇の予告…30日前の予告又は30日分以上の平均賃金
  • 年次有給休暇…6ヵ月継続勤務・8割以上出勤で10日

改善基準告示の数値は別ページに一覧でまとめています。改善基準告示 数字まとめもあわせてご覧ください。

📋実務上の知識及び能力(7問)

正式名称は「その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力」です。独立した法令があるわけではなく、①〜④の法令知識を実務の場面に当てはめて解く応用問題が中心です。

出題テーマ根拠・出どころ
運行計画の適否判定改善基準告示+運輸規則(計算問題として出題)
交替運転者の配置基準通達「高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準について」
点呼・運行管理の実務対応旅客自動車運送事業運輸規則、解釈及び運用について
事故防止・ヒューマンエラー法令外の一般知識(ハインリッヒの法則、指差呼称など)
健康管理・睡眠時無呼吸症候群労働安全衛生法、国土交通省のガイドライン
視覚・運転特性(蒸発現象等)法令外の一般知識
デジタコ・ドラレコの活用運輸規則第26条+実務知識
⚠️ この分野だけ「2問以上」が必要
①〜④は各1問以上でよいのに対し、⑤実務だけは2問以上の正解が必要です。法令の丸暗記だけでは解けない問題が多く、ここを落として不合格になるケースがよくあります。過去問で出題パターンに慣れておくのが有効です。

📝「許可・認可・届出」の使い分け

法令の体系を理解するうえで避けて通れないのが、手続の種類です。行政の関与が強い順に、許可 → 認可 → 届出と覚えます。

種類意味旅客事業での例
許可本来禁止されている行為を、特定の場合に解除してもらう一般旅客自動車運送事業の経営(国土交通大臣の許可)、特定旅客自動車運送事業の経営
認可行為の法律上の効力を完成させてもらう事業計画の変更(路線の新設・変更等)、運送約款、一般乗合の上限運賃、事業の譲渡譲受、合併・分割
届出行政に知らせるだけ(受理されれば効力発生)運行管理者の選任・解任(15日以内)、営業所の名称変更等の軽微な事業計画変更、一般貸切の運賃・料金
💡 覚え方:「事業は許可、変更は認可、人は届出」 事業を始めるには許可。事業計画の重要な変更は認可。運行管理者の選任など人に関することは届出。この3つを軸にすれば大半の選択肢は判断できます。
👉 ひっかけのパターン
「事業計画の変更は届出でよい」「運行管理者の選任は認可が必要」といった入れ替え型の誤りが定番です。また期限を変える手口(15日以内→30日以内)もよく使われます。手続の種類と期限はセットで覚えてください。

🔍この論点はどの法令?早見表

迷いやすい論点を、根拠法令ごとに並べました。問題を読んだときに「どの分野の話か」を判断する練習に使ってください。

論点根拠法令試験分野
点呼の種類・確認事項旅客自動車運送事業運輸規則 第24条① 道路運送法
業務記録・運行記録計運輸規則 第25条・第26条① 道路運送法
運行指示書運輸規則 第28条の2① 道路運送法
乗務員等台帳運輸規則 第37条① 道路運送法
運行管理者の業務運輸規則 第48条① 道路運送法
事故の報告・速報自動車事故報告規則① 道路運送法
車検・定期点検道路運送車両法/自動車点検基準② 車両法
非常口・消火器・速度抑制装置道路運送車両の保安基準② 車両法
整備管理者道路運送車両法 第50条② 車両法
法定速度・違反点数道路交通法施行令③ 道交法
酒気帯び運転の罰則道路交通法③ 道交法
事故時の措置(救護義務)道路交通法 第72条③ 道交法
拘束時間・休息期間・連続運転改善基準告示④ 労基法
割増賃金・年次有給休暇労働基準法④ 労基法
健康診断労働安全衛生法④ 労基法
交替運転者の配置基準通達(配置基準について)⑤ 実務
運行計画の適否判定改善基準告示の応用⑤ 実務
👉 迷ったときの判断軸
「誰に向けたルールか」で考えると整理しやすくなります。
事業者・運行管理者に対する義務 → 道路運送法・運輸規則
車両に関する基準 → 道路運送車両法
運転者個人の運転行為 → 道路交通法
労働者としての働き方 → 労働基準法・改善基準告示

✏️試験直前の総チェック

問い答え
法令の4階層は?法律 → 政令(施行令)→ 省令(規則)→ 告示
政令を定めるのは?内閣
省令を定めるのは?各省の大臣(国土交通大臣等)
旅客自動車運送事業運輸規則の階層は?省令(昭和31年運輸省令第44号)
点呼の根拠条文は?旅客自動車運送事業運輸規則 第24条
貨物で運輸規則にあたる法令は?貨物自動車運送事業輸送安全規則
試験の分野別出題数は?道路運送法8/車両法4/道交法5/労基法6/実務7=計30問
合格基準は?18問以上、かつ①〜④各1問以上・⑤2問以上
改善基準告示の正式名称は?自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
改善基準告示を定めたのは?厚生労働大臣(告示)
事業の経営に必要な手続は?国土交通大臣の許可
事業計画の重要な変更に必要な手続は?認可(軽微な変更は届出)
運行管理者の選任に必要な手続と期限は?届出・15日以内
法令改正後、試験に出題されるまでの期間は?改正施行後6ヵ月間は改正部分を問う問題は出題されない

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